【保存版】クボタの乾燥機で乾燥ムラが起こる原因と完全対策|均一乾燥で品質・収益を守る方法
稲刈り後の乾燥作業は、収穫の仕上げとも言える大切な工程。
しかし「クボタの乾燥機を使っているのに、内部の乾燥ムラが出る」と悩む農家の方は少なくありません。
せっかくの高品質な籾(もみ)も、乾燥ムラがあると品質が落ち、販売価格にも影響します。
本記事では、クボタ乾燥機での乾燥ムラの主な原因と、現場でできる具体的な改善策を、専門的に・わかりやすく解説します。
クボタ乾燥機の特徴と乾燥ムラの基本原理
クボタの乾燥機は、温風循環方式や遠赤外線方式など、高効率で均一な乾燥を目指した構造になっています。
それでもムラが起こるのは、籾の流動性・風量分布・温度制御のどこかに偏りがあるためです。
乾燥ムラが発生する代表的なパターン
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上部が乾きすぎて下部が湿っている
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中央部に湿り籾が残る
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乾燥槽の四隅にムラが出る
これらは、風路の詰まりや、籾の密度不均一、温度センサーの誤差など、機械構造と運用の両面が関係します。
【原因①】籾の投入量・かき寄せ不均一
🔍 よくある症状
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乾燥槽の中央と端で含水率が違う
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一部だけ過乾燥または湿り気が残る
🛠 改善策
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籾の投入は水平に均一に行う(特に最初の層が重要)
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手動投入の場合、スコップで左右均等に分散させる
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オート投入モデルなら供給スクリューや昇降機の詰まりチェック
💡 ポイント: 初期投入のバランスが悪いと、乾燥風が偏り、上層だけ先に乾く現象が発生します。
【原因②】温風ダクト・フィルターの目詰まり
クボタ乾燥機では、温風を送り込むダクト構造が重要な役割を担います。
ここにホコリ・籾殻・粉塵が詰まると、風量が低下しムラの原因になります。
✅ チェック項目
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温風入口やダクトの異物詰まり
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送風ファンの羽根の汚れ
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フィルター・スクリーンの掃除頻度
🧹 対処法
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1サイクルごとにエアブロー清掃
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月1回はファンカバーを開けて内部点検
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異音がある場合はモーター軸やベアリングの確認も
【原因③】温度センサーやサーモ制御のズレ
乾燥温度が適正であっても、センサーの誤差や経年劣化で制御がズレることがあります。
この場合、乾燥ムラが発生しやすくなります。
⚙ よくあるサイン
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表示温度と実測温度が異なる
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一定時間ごとに風量が不安定になる
🛠 対策
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温度センサーの定期校正(年1回推奨)
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クボタ純正の点検モードを使用してセンサー値を比較
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センサー交換は純正部品指定で行う
💡 注意: 汎用部品で代用すると、制御誤差で乾燥ムラが逆に悪化することがあります。
【原因④】籾の水分量が均一でない
刈り取り時期や圃場ごとに籾の含水率が異なると、同じ温風でも乾燥速度が違い、結果的にムラが発生します。
🌾 改善策
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籾を乾燥前に一時かくはん(混ぜる)
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異なる圃場の籾を同時に混ぜて乾燥しない
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水分計で複数箇所を測定し、平均値を基準に設定
【原因⑤】攪拌(かくはん)機構の作動不良
攪拌が弱い、または止まっていると、中央部に湿りが残りやすくなります。
特に大型クボタ乾燥機(SRシリーズなど)では、攪拌羽根の破損や軸の摩耗もムラの原因です。
🛠 確認ポイント
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攪拌モーターが回転しているか
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羽根が曲がっていないか
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ベルトの緩み・滑りがないか
定期点検時に「羽根の位置ズレ」を確認することで、内部ムラを未然に防げます。
均一乾燥を実現するための運転テクニック
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初期は低温・後半は高温で仕上げ乾燥
→ 一気に高温にすると外側だけ乾く「表面乾燥」になりやすい。 -
途中で籾を一度撹拌(かくはん)する
→ 長時間運転では中間攪拌が効果的。 -
排気温度と含水率の同時モニタリング
→ クボタの「自動停止機能」を活用し、過乾燥を防ぐ。
プロ農家が実践する「乾燥ムラゼロ」メンテナンス習慣
項目 | 頻度 | 内容 |
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温風ファン清掃 | 毎回 | ほこり・籾殻を除去 |
温度センサー点検 | 年1回 | 校正・誤差測定 |
攪拌羽根の潤滑 | 3ヶ月ごと | グリスアップ |
籾受け口の清掃 | 毎回 | 風量低下防止 |
これらをルーチン化することで、乾燥効率アップ+燃料コスト削減+品質安定が期待できます。
まとめ:クボタ乾燥機の乾燥ムラは「日常点検」と「風の流れ」で防げる
クボタの乾燥機は構造的に優れていますが、
内部の空気循環と温度制御を適正に保てなければ、ムラは必ず発生します。
✅ 均一な籾投入
✅ ダクト・フィルター清掃
✅ センサー点検
✅ 撹拌機構の確認
この4つを守るだけで、乾燥ムラの90%は防げるといわれています。
安定した品質の籾を得るためには、
「乾燥は機械任せにしない」——これがベテラン農家の共通する考え方です。