農機具買取における売買契約書の重要性とサンプル解説


農機具を買取に出すとき、多くの方が「査定額」や「引き取り方法」ばかりに意識が向きがちです。しかし、実はもっとも大切なのは売買契約書です。契約書が不十分だと、後から「言った・言わない」のトラブルや支払い遅延、追加費用の請求などが起こりやすくなります。ここでは、農機具の売却で安心して取引するための売買契約書のポイントと、実際に使える契約書サンプルを紹介します。


売買契約書が必要な理由

  • 取引内容を明確化:査定額・支払日・引渡し条件などを文章化し、双方の認識を一致させる。

  • 法的効力の担保:口頭ではなく書面に残すことで、万一のトラブル時に証拠となる。

  • 追加請求の防止:運搬費用・整備費用などを後から請求されないように契約書で取り決める。

  • 安心感:個人売買や初めての業者との取引でも、契約書があることで安心して手続きを進められる。


契約書に盛り込むべき基本項目

  1. 売主・買主の情報(氏名・住所・連絡先・法人なら会社名と代表者名)

  2. 売却対象農機具の詳細(メーカー・型式・製造番号・年式・付属品など)

  3. 買取金額(税込・手数料の有無)

  4. 支払い方法と支払期日(現金、振込、分割など)

  5. 引渡し条件(引取日、運送費用の負担者、場所)

  6. 所有権移転の時期(代金支払い完了時点で移転、など)

  7. 保証・瑕疵担保の有無(農機具に欠陥があった場合の対応)

  8. キャンセル規定(契約後にどちらかが破棄する場合の条件)

  9. 署名・捺印(押印があると信頼性が高まる)


農機具売買契約書のサンプル(ひな形)

農機具売買契約書

売主(以下「甲」という。)と買主(以下「乙」という。)は、下記のとおり農機具売買契約(以下「本契約」という。)を締結する。

第1条(対象農機具)
甲は、下記の農機具を乙に売却し、乙はこれを購入する。
・メーカー:
・型式:
・製造番号:
・年式:
・付属品:

第2条(売買代金)
売買代金は金〇〇円(税込)とし、乙は甲に対し下記の方法により支払う。
・支払方法:銀行振込/現金  
・支払期日:令和〇年〇月〇日

第3条(引渡し)
引渡しは令和〇年〇月〇日、甲の所在地にて行う。運搬費用は〇〇が負担する。

第4条(所有権の移転)
所有権は売買代金全額の支払い完了時に甲から乙へ移転する。

第5条(保証・瑕疵担保)
本農機具に隠れた瑕疵があった場合、甲乙双方は誠意をもって協議の上対応するものとする。

第6条(契約解除)
乙が支払を怠った場合、または甲が引渡し義務を怠った場合、本契約を解除できる。

第7条(合意管轄)
本契約に関する紛争は、甲の所在地を管轄する裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

以上、本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙各自が署名捺印の上、各1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

売主(甲)住所:  
氏名:     印  

買主(乙)住所:  
氏名:     印

契約書を交わす際の注意点

  • 金額は「税込」と「手数料込み」を明記する

  • 支払い期日と方法を必ず記載する

  • 運搬費や名義変更費用が発生するか確認

  • 署名・捺印は双方が必ず行う

  • コピーを各自保管する


まとめ

農機具の買取は高額取引になることが多く、口約束だけで進めるとトラブルに発展しやすいものです。売買契約書を用意するだけで安心感が増し、後悔しない取引が実現できます。

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